日本のアニメーションの源流を知ろう
佐藤忠男
(映画評論家・日本映画学校校長)
いま日本のアニメーションは質量ともに世界をリードする大きな存在になっているが、こうなるまでには長い歴史がある。
 日本で最初にアニメーションの製作が試みられたのは1917年で、当時人気のあったフランスのアニメ作品を研究しながら、黒板に白墨で線を描いて、それをコマ撮りしては線を消して書き加えていった線画だったと伝えられている。1921年には最初のアニメーション専門のプロダクションが活動をはじめているが、初期には殆んどが家内工業的な小さな規模で作られており、作品は散逸して失なわれてしまって、内容はよく分からない。
 古くから日本の無声映画の蒐集保存につとめてきたマツダ映画社のぼう大なコレクションの中には、1930年頃からのアニメーション作品が多数含まれている。それらは歴史的に貴重なだけでなく、ギャグが豊富で面白い作品が多い。こんど「日本アニメクラシックコレクション」としてまとめられたこのDVDでは、例えば「動物村の大騒動」は非常ににぎやかで動きの多い作品だが、これを作った山本早苗は、のちに日本で最初の大手のアニメーション・スタジオである東映動画の設立の中心になった人で、このスタジオから宮崎駿などが現れることになる。そんなわけで今日の日本アニメのひとつの源流をこの作品に見ることもできる。
 のちにカンヌ映画祭で受賞して日本のアニメの芸術的水準の高さをはじめて世界に知らせることになる孤高の天才大藤信郎の若き日の作品が六本も含まれているし、瀬尾光世、政岡憲三など、やはりのちに日本のアニメを高い水準に引きあげた巨匠たちの初期の奔放な作品も見ることができる。よくぞこれらの作品を集め、大事に保存しておいてくれたものだと、関係者の皆さんに感謝せずにはいられない。これらは今日巨大な文化産業になっている日本のアニメーションの水源であり、開拓者たちの若々しい意欲を今日に伝えるものである。日本のアニメに関心を持つ人たちにとっては必見のコレクションと言えよう。素晴らしい!